| 近代日本経済史 | 教授 柏 戸 傳 |
| 木曜日 | 2時限 |
| 講義の狙いと留意点 |
| 各時代・時期の社会のあり様を規定するものは、社会の「下部構造」といわれる経済であるとされる。このような認識に立てば、一国又は一社会の経済史的把握はその国又は社会の本質的理解に直結する。 本講は日本資本主義発達史としての視角を基軸にして、日本は何故明治維新後急速な近代化を遂げ、さらに急成長をし得たのか、何故悲惨な太平洋戦争へ突進しなければならなかったのか、戦後の高度経済成長は何によって可能となり、何をもたらしたのか、これらの点を明らかにすることを主要課題として進めていく。またその中で戦後60年を経た日本資本主義においてどこに戦前との継続性があり、どこに断絶性があるのかも明らかにしていく。 履修に際しては、経済学、経営史、産業論を履修していること又は併せて履修することが望ましい。 |
| 成績評価の方法 |
| 試験又はレポート。但し出席状況等の日常的授業態度も加味する。 |
| 教科書 |
| 三和良一『概説 日本経済史 近現代』東大出版会 |
| 参考書・指定図書 |
| 速水融・他(編)『日本経済史』1〜8 岩波書店 大石嘉一郎・他(編)『日本資本主義発達史の基礎知識』有斐閣 ○橋本寿朗・他『近代日本経済史』岩波書店 ○橋本寿朗『現代日本経済史』岩波書店 ○井上勝生・他『シリーズ日本近現代史』1〜7 岩波書店 |
| 講義の内容 | |
| 1回 | T 近代日本経済史への接近 (1) 経済史とは何か (2) 近代日本経済史研究史上の主要論点 諸科学の系列とその性格を明らかにする中で、経済史の位置と役割を確認する。 次に、近代日本経済史研究史上においていつの時期の何についてが主要論点であったかを紹介、概説する。 |
| 2回 | U 日本資本主義の生成過程 (1) 幕末・維新期の経済状況 (2) 資本の原始的蓄積過程 幕末開港以降の日本経済の変容の実相とそれに対応した維新政府の経済政策の性格と意義を明らかにする。 次に、資本主義生成の起点をなす資本の原始的蓄積の日本的様相とその特徴を見る。 |
| 3回 | (3) 殖産興業政策 (4) 企業勃興 資本の原始的蓄積を基礎に、日本において資本主義的生産様式がどのように導入、創出されたのかの実態とその性格を明らかにする。 |
| 4回 | V 日本資本主義の展開過程 (1) 日本資本主義の確立 (2) 帝国主義の成立 資本主義的生産様式が支配的となり、定着したのは日本においてはいつの時期であり、その実態と性格はいかなるものであったかを検討する。また日本では「確立」と同時的に「帝国主義」的性格を帯びたことを検証する。 |
| 5回 | (3) 第一次世界大戦と日本資本主義 (4) 1920年代の日本資本主義 第一次世界大戦を通じて日本資本主義がどのように変容し、その後の反動恐慌に始まる「慢性不況」の過程で帝国主義的性格がどのように強化されていったのかを検証する。 |
| 6回 | W 日本資本主義の崩壊過程 (1) 昭和恐慌と日本資本主義 「金解禁」の必然性とその準備過程としての「井上財政」の実態と性格を明らかにする。次に「金解禁」の実施と世界恐慌の影響とが重なり発生した「昭和恐慌」を通じて露呈した日本資本主義の矛盾ないし限界を明らかにする。 |
| 7回 | (2) 満州事変期の日本資本主義 「昭和恐慌」からの脱却を当面の最大課題としていた日本資本主義は「満州事変」の勃発を契機の一つとしつつ、1930年代にその性格と展開方向を大きく変えた。これに深く関わりをもつ「高橋財政」の実態と性格および意義を中心に日本の国家独占資本主義開始期の様相を明らかにする。 |
| 8回 | (3) 日中戦争期の日本資本主義 満州事変を契機に不況から脱した日本資本主義が中国への侵略を本格化させつつ「日満支経済ブロック」の形成を志向した経済的必然性を明らかにする。またこの時期から本格的に展開してくる戦時経済体制、国家独占資本主義の実相と特徴を明らかにする。 |
| 9回 | (4) 太平洋戦争期の日本資本主義 「日満支経済ブロック」から「大東亜共栄圏」へとその存立基盤を求めていった日本資本主義が、「生産力拡充計画」と戦時統制経済の再編強化にも拘らず、ついに敗戦という形での終末を迎えざるを得なかった経済的過程を明らかにする。 |
| 10回 | X 日本資本主義の再興過程 戦後の日本経済が直面していた問題は何であり、それがどのように解決されあるいは未解決のまま日本資本主義の再興がなされたのか。これを「戦後改革」、戦後経済政策および朝鮮戦争の効果と意義という点から明らかにする。 |
| 11回 | Y 日本資本主義の新展開 (1) 高度経済成長の過程とメカニズム 1950年代半ばから1970年代にかけての他に類例を見ない日本の高度経済成長は、どのような要因がどのように作用し合って可能であったのか。その経済的・技術的メカニズムを検証する。 |
| 12回 | (2) 高度経済成長の意義と限界 高度経済成長は日本の経済および社会のどのような局面にどのような影響を及ぼしたのか。その実態を確認し、その意義を考察する。 次に十数年にわたった高度経済成長が何故に挫折せざるを得なかったのか、又そこにはどのような課題が残されることになったのかを考察する。 |
| 13回 | Z 日本資本主義の転換 高度経済成長挫折後の安定成長ないし低成長という新たな経済環境の下での日本資本主義の課題とそれへの対応を考察し、今後の展開方向を展望する。 |