| 産業論 | 教授 柏 戸 傳 |
| 木曜日 | 2時限 |
| 講義の狙いと留意点 |
| 1950年代半ば以降の高度経済成長期を通じての急発展を基礎に、世界でも最上位の規模と競争力を誇っていた日本の花形的基幹産業の多くも1990年代は極めて厳しい状況の中で苦闘した。産業は変化する生き物であることを認識する必要がある。 このような産業について「産業は何であり、何であるべきか」を経済学的視角と手法をもって明らかにしようとするのが産業論の主要課題である。 本講義では、先ず現代の日本の産業構成の実態と特徴を概観し、次に産業構造論的接近として産業構造に関する主要理論を概括するとともに、日本の事例も検証する。続いて、産業組織論的接近として産業組織に関する理論的要点を概説する。最後に個別産業の事情を考察し、今後の日本産業を展望する。 なお、受講者は経済学、マーケティング、経営史を履習していること、又は併せて履習することが望ましい。 |
| 成績評価の方法 |
| 試験又はレポート。但し出席状況等の日常的授業態度も加味する。 |
| 教科書 |
| 特に指定しない。 |
| 参考書・指定図書 |
| ○宮沢健一『産業の経済学』東洋経済新報社 ○三菱総合研究所『日本産業読本』東洋経済新報社 ○日経産業新聞『日経業界地図2008年版』日本経済新聞社 新庄浩二・他『新・産業の経済学』昭和堂 日本経済新聞社(編)『日経大予測 2008年版』日本経済新聞社 植草益・他『日本の産業システム』1〜6 NTT出版 |
| 講義の内容 | |
| 1回 | T 産業・産業論とは 産業とは通例では製品又はその市場を共通にする企業群であるとされるが、今日では新たな産業概念も社会・経済の進展とともに必要になってきている。 産業論は産業構造論ならびに産業組織論の二大領域から構成される。 |
| 2回 | U 現代日本産業の国際的位置とその経過 現代日本経済ならびに産業について、主にその規模の面から国際比較するとともに、その経過を概観する。そこでは高度経済成長期における急拡大、急上昇が確認される。 また現代日本の産業構成の実態と特徴を概観し、以後の講義の前提的知識を得る。 |
| 3回 | V 現代日本の産業構造の形成過程 (1) 高度経済成長期の産業発展 今日の日本産業の規模と位置とを確立する基礎となった高度経済成長期における産業発展のメカニズムを、特にその先導的役割を果した素材型産業のいくつかと組立加工型産業のいくつかの相互関連性を明らかにする。 |
| 4回 | (2) 「転換期」日本産業の課題と対応 A 素材型産業 オイルショックを契機とした高度経済成長の挫折以降の1980年代における鉄鋼業、石油化学工業等の素材型産業が直面した実情・課題とそれへの対応方向を概観する。 |
| 5回 | B 組立加工型産業 「転換期」における組立加工型産業の経過過程は、素材型産業に比較すれば良好であり、その後の日本経済・産業の中核となっていったが、この要因と意義を考察する。 |
| 6回 | W 産業構造変化の理論 (1) ペティ=クラークの法則、後発経済の近代化、ホフマン法則 産業構造は経済発展に対応して変化するものである。このことを経験法則として、また歴史的事実として指摘しているいくつかの有力理論を紹介、解説する。 |
| 7回 | (2) 需要構造・供給構造と工業化 産業構造変化は、長期的には工業化の過程として現象し、さらに重化学工業化を伴うのが一般的である。なぜこのような過程、現象を生ずるのかを需要面、供給面、両者の相互関係の各視点から明らかにする。 |
| 8回 | X 産業組織の理論 (1) 戦後日本の産業組織の特質 競争的寡占から協調的寡占へと転換を見てきている戦後日本の産業組織について、その背景と要因を考察する。また戦前期日本の産業組織と比較した上で、企業集団・企業グループの成因と実態を明らかにする。 |
| 9回 | (2) 産業組織の理論 A 市場構造 産業組織のあり方を基本的に決定づける市場構造について、その要因である集中度・製品差別化・参入障壁等の点から考察し、その効果・影響の程度により産業組織の性格が規定されていくことを明らかにする。 |
| 10回 | B 市場行動 与えられた一定の市場構造の下で企業はどのような行動をとるのか、その特性について利潤獲得・組織編成・価格形成の面から概観する。また各面の効果・影響の程度が産業組織にどのように反映されていくのかを明らかにする。 |
| 11回 | C 市場成果 一定の市場構造、市場行動の下でどのような結果が生ずるのかという市場成果について、社会的効率性、社会的進歩性という点から考察する。そしてその程度が市場における競争の維持・促進にどう関係するものかを明らかにする。 |
| 12回 | Y 現代日本の産業事情と展望 (1) 素材型産業 1980年代以降ほぼ一貫した低迷状態にあり、「重厚長大」の言葉に端的に示される性質を有す素材型産業の現状を明らかにするとともにどの方向へどう進めばよいかを検討する。 |
| 13回 | (2) 組立加工型産業、サービス産業 オイルショック以降の日本経済および産業の支柱であった組立加工型産業も、今や往時の競争力を大きく後退させつつある。その要因は何であり、今後どのような展開が可能であるのかを検討する。また産業構成上では大きな比重をもつに至ったサービス産業の課題と今後のあるべき姿を検討する。 |