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比較宗教論A・B兼担特任准教授 戸 田 裕 久

木曜日4時限

講義の狙いと留意点
 近代以降の思想と科学の進歩は宗教の権威を失墜させ、また、旧来の社会秩序を維持・強化する機能をもっていた伝統的宗教は社会構造の変動によりその役目を終えた。現代では宗教は社会的意義を失い、単なる個人的な事柄になってしまったかに見える。しかし、世界に目を向けると宗教が今なお強い力を保ち続けている国がある。宗教が人々の生活の中心にある、国家を動かしている、生殺与奪の力を握っている、という例は珍しくない。また、民衆の宗教離れが甚だしいとされる日本においても、実は宗教への関心や期待は潜在的に高まっているのではなかろうか。現代人は自ら望みさえすれば、宗教に関する情報を容易に入手することができる。今や宗教的知識は宗教職能者の占有物ではなく、かなりの部分が公開されている。特定の宗派に属する宗教家よりも、俗人として普通の暮らしをしている人の方が宗教的知識は豊富かもしれない。ただ、知識があるのと実践するのとは全く別の次元の話であるが。本講義では、宗教を一つの文化現象として捉え、その成り立ちと思想を価値中立的立場から紹介する。また、何らかの形で受講生諸氏と意見交換をしたいと思う。
成績評価の方法
学期末テストおよび平常点(出席状況・小レポート)
教科書
立正大学情報処理センター端末室で、立正大学ネットワークの、「共用フォルダ」内にある、「2008」→「戸田裕久」→「比較宗教論」というファイルに収められた文書を、各人が随時にプリントアウトまたはコピーして下さい。
参考書・指定図書
『宗教学辞典』東京大学出版会。
岸本英夫『宗教学』大明堂。
中村 元『比較思想論』岩波全書。
G.v.d. レーウ『宗教現象学入門』東京大学出版会。
W.E. ペイドン『比較宗教学』東京大学出版会。
松本 滋『宗教心理学』東京大学出版会。
カレン・アームストロング『聖戦の歴史』柏書房。

講義の内容
1回T.比較宗教論序説
 1.宗教の定義に関する問題提起
 2.宗教研究の方法論
 3.諸宗教の分類基準
2回U.宗教現象の諸相
 1.宗教心理
 2.神という概念
 3.宗教の原初形態
  (1)未開宗教と民間信仰
  (2)呪術的要素
  (3)神話と祭祀
3回V.世界の諸宗教
 1.古代宗教
  (1)先史時代の宗教
  (2)国家建設と古代宗教
4回  (3)多神教的世界観
  (4)密儀宗教(人間本性の解放)
5回 2.ユダヤ教
  (1)旧約聖書の成り立ち
  (2)一神教的世界観・歴史観
6回  (3)預言者(カリスマ)
  (4)民族宗教の限界
7回 3.キリスト教
  (1)新約聖書の概要
  (2)史的イエスの生涯と思想
8回  (3)教会の組織化と教義の制定
  (4)神学論争(正統と異端)
  (5)宗教改革と宗教戦争
9回 4.イスラーム教
  (1)預言者ムハンマド
  (2)コーランの教え
  (3)ムハンマドの伝道と聖戦
10回  (4)ウンマとシャリーア
  (5)イスラーム神秘主義
  (6)「聖戦」と十字軍
11回 5.仏教
  (1)仏教興起時代の状況
  (2)釈尊の生涯
  (3)原始仏教の実践倫理
12回  (4)仏教とヨーガ
  (5)大乗仏教の思想と実践
 6.諸宗教の比較
  (1)神観・世界観・人間観の比較
  (2)各宗教の歴史的変遷の平行現象
13回W.現代における宗教の状況と存在意義
 1.宗教システム(教団組織と教義体系)
 2.宗教の世俗化・大衆化
 3.宗教と社会(宗教の存在意義)

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